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赤緑黒白 Red Green Black and White Vシリーズ

book

世の中には残念なことと、そうでないことがある。私の周囲にあるもので、私が関知するものの大半は、前者に含まれる。それ自体が残念なことである。私の周囲に存在しないものは、私には関知できないし、また、私の周囲にあっても関知できないものは、残念に思うことさえできない。それも残念なことだ。どうも、私は、一生かかって残念なことを集めている気がする。残念のコレクタといえるかもしれない。そう思うと、多少は気が楽だ。

一般に、目的のない犯罪に対しては、人間社会の防御システムはまだ確立していない。どういった人間が、それを引き起こすのかも明確に把握されていない。それは簡単に起こり、そして、簡単には防げないのだ。  どういった社会ならば、パーフェクトな安全が約束できるだろう。

「自分の前に立ちはだかる邪魔ものを取り除く」彼女は頰杖をつきながら、目を細めて話した。「端的に言えば、それは問題解決です。その邪魔ものが科学的な謎であれば、解決した者は科学者として成功し、その邪魔ものが技術的困難であれば、解決した者は一流のエンジニアになる。その邪魔ものが、たまたま生きた人間だったときには、解決に成功した者が、殺人者と呼ばれるのです」