蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷 (幻冬舎単行本)

蜜蜂と遠雷 (幻冬舎単行本)

見るからにIHタイプだな、と三枝子は予想した。  IHとは、彼女が勝手にそう呼んでいるタイプで、「嫌になっちゃうほど弾けちゃう」超絶技巧を持つコンテスタントのことだ。

「ううん、バッチリだったよ。甘さの加減が絶妙。甘さ控えめが流行ってるけど、やっぱり、世の中しっかり甘くなきゃならないものってあるよねえ」

二段組で、一つのコンテストでの演奏をひたすら書いてある小説。いろんな人が言ってる通り全然知らない曲なのに聞こえてくる気がするから不思議。1月の頭から読んでたけどちょっと時間かかった。

なぜかそんなところがとても懐かしくて、不意に泣きたいような気持ちになった。

という一節があるんですけど、ずっとこういう感じですごい良い本だった。