聖の青春

聖の青春 (角川文庫)

聖の青春 (角川文庫)

忘れられない1冊。すごいよかった。

〈ここまで順調に昇級昇段してきた。しかし将棋は一回狂うと雪達磨式に狂う。  いま、僕は二段だ。しかし放っておいても四段に昇段出来る訳ではない。  二段に何年もいれば二段の実力を維持するのも難しくなり12勝4敗など夢の様な話になる。  将棋は強くなるのは難しいが弱くなるのは簡単である。強くなったと解るのは昇段した時だけである〉

し自分が病気でなければ、そう考えることは村山には何の意味もなかった。病気を抱えながら生きる自分が自分自身であり、それは切り離して考えることはできない。病気が自分の将棋を強くし、ある意味では自分の人生を豊かなものにしているのだと考えた。