封印再度 WHO INSIDE S&M

封印再度 WHO INSIDE S&M

封印再度 WHO INSIDE S&M

UNIXのメールを見てみるが、差出人とサブジェクトを眺めただけで読む気にもなれない。とりあえずは、熱いコーヒーを強制的に喉に流し込む。おそらく、この魔法の飲みものが地球上になかったら、犀川の午前中は存在しないのと同じになる。人生の半分はコーヒーから生まれた、といっても過言ではない。

しかし、そうした決心も、翌朝、目覚めてみると必ず覆ってしまうのだった。他人の存在を自分の内側から許容するという(たぶんありふれた)能力が、どうやら自分には欠落しているようだ、と最近気がついた。自信なのか、勇気なのか……、そんな、ほんのささやかな能力が、いざというときに必ず引っ込んでしまうことも、彼女自身が一番よく知っている。