EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅

EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅

EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅

ふわっと読み始めたけど結構長かった。けど、オリンピックとかとはまた違うウルトラマラソンランナーが、どう生まれて、どう考えて、どうして走ってるのかみたいなのをつらつらと書いていて、(全然知らなかったけど)とても良かった。

あと一章終わるたびに、ヴィーガン(完全菜食主義者)のこの人が食べている料理のレシピが載っていて、それも結構面白い。本当に eat and run 。

さらに大事なことは、このレースを完走した選手一人ひとりが乗り越えてきたものに敬意を払うことができた。僕は妻の実家の地下室に住み、寝たくても具合が悪くてもトレーニングをして、何度も引っ越しをしては借金を作ってきた。他のランナーたちもさまざまなことを耐えてきたに違いない。達成できるかどうか分からない何かに挑戦する力は誰もが持っている。それは一マイル走ることかもしれないし、一〇キロ走ることかもしれないし、一〇〇マイルかもしれない。転職かもしれないし、二キロ痩せることかもしれないし、誰かに愛してるって告白することかもしれない。ウェスタンステーツに挑んだランナーで、完走できると確信していた者なんていないし、ましてや優勝すると思っていた者なんて(僕を含めて)誰もいない。多くの人たちは、人生の中で偉大な何かを成し遂げたことはない。挑戦したことさえない。ここにいるみんなはそれを同時にやり遂げたんだ。ゴールに立って選手を迎えることで、きっと苦痛や不安や渇望や絶望を乗り越えてきた彼らを讃えることができた。そこに居合わせることによって、彼らが呼び起こさなければならなかった力を認め、困難な目標を定めて達成したことを祝福することができた。そのときには分からなかったけれど、こうやって僕に目的や平穏の手段を与えてくれたこのスポーツに、何か恩返しをする機会を与えてもらった。どうしてという疑問に、つかの間のはかないものであったとしても、何かしらの答えをくれたのだから。