秋期限定栗きんとん事件上・下 (小市民シリーズ)

まさか仲丸さんに、ジグソーパズルの趣味があるとは思わなかった。偏見だけでものを言うなら、どちらかといえばジグソーを組み立てている人に後ろから近づいて、「なにつまんないことやってるの!」とテーブルをひっくり返しそうなのに。失礼しました、人は見かけによらない。

それでも、あのまま何もなければ、ぼくも慣れていったのかもしれない。どんな秘密をどれほど知恵を絞って解き明かしても、「あ、そうなんだ」だけで済まされてしまうことに慣れていけば、ぼくの虚栄心はいずれ疲労して摩耗して、ついには消えてしまったかもしれない。

なんだかんだでこれも夏。