帰って来たヒトラー
- 作者: ティムール・ヴェルメシュ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/03/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- 作者: ティムール・ヴェルメシュ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/03/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (3件) を見る
帰って来たヒトラーを読んだ。1ヶ月以上前に読み始めたけど色々バタバタしていてだいぶ時間がかかった。 ページ数は上下巻合わせて 300 ページぐらいなのでそんなに長くない。(なので少し値段が高く感じた...)文体もだいぶ柔らかいのですぐ読めた。(好き好きはありそう)
ドイツの事情に詳しくないので、そこらへんの話がいまいち掴めなかったのと、言葉遊びが何個かあったけどドイツ語だとどのように扱われているかがすごく気になった。
もちろん、文化欄の文章が俗人の理解を超えたほとんど意味不明なものであることは、六十年前も今も変わらない。その状況が変わらないのは、「記事の内容が理解不能であればあるほど、読者はその記事を高尚だとみなす」という状況が今もあるからにちがいない。そして読者は、内容を理解できずとも文章からポジティブな調子が感じとれれば、それを大切なものだと推測するのだ。
こういう感じで現世と60年前を比較しつつ、ヒトラーが適応していき、周りの人が巻き込まれていくという話。
だから、私は説明してあげた。あれは、ぜんぶ風刺なんだよ。もう二度とあんなことが起きたりしないように、そのためにやっている風刺なんだよって。でも、おばあちゃんは言った。あれは風刺なんかじゃない。ヒトラーが昔に言ったことを、そのまま繰り返しているだけだ。人々がそれを聞いて笑っているのも、昔とおんなじだって。
ただ読んでる側としてはこのおばあちゃんの視点に近いとも感じていて、ヒトラー、巻き込まれる人、読んでる人でズレてるのが面白かった。